金は「信用が縮むとき」に強いのか——上がった理由と、危機のときの売られ方
2026年、国内の金の買取価格は3月に最高値をつけたあと、10月には2割ほど下がった。金が上がる理由と、危機のときにかえって売られることがある理由を整理します。
この記事の要点
- 金は利息を生まない。金利が高いほど、持っていることの「機会費用」が大きくなる
- 危機の直後は、現金が欲しい人に売られて、金も一時的に下がることがある
- 金の値段を押し上げた理由と、押し下げる理由の両方を知っておく
2026年の金の動き
2026-11-04 記録
国内の大手買取店の公表値では、金の買取価格(1グラムあたり)は2026年1月1日に21,153円、3月3日に年間の最高値26,651円をつけた。その後は下がり、10月20日時点では20,704円と、最高値から約22%下がっている。海外の金価格も、2026年に入って初めて1トロイオンス5,000ドルを超えた。
同じ年、日本の長期金利は約30年ぶり、米国の長期金利は約24年ぶりの高さになった(国債の金利が上がるとき)。金の値動きは、この金利の動きと切り離しては考えにくい。
金を押し上げてきたもの
- お金の量の増加:世界的な金融緩和で、お金の量が増えた。量に限りがある金は、お金に対して相対的に値上がりしやすい
- 中央銀行の買い:各国の中央銀行が、外貨準備の一部としてドルの代わりに金を買い増してきた
- 地政学の緊張:戦争や制裁のリスクが高まると、国の信用に頼らない資産として買われる
- 通貨への不安:自国の通貨が弱い国では、価値を守る手段として金が買われる
金を押し下げるもの
- 金利の上昇:預金や債券で利息がもらえるなら、利息のつかない金をわざわざ持つ理由が弱くなる
- ドル高:金はドルで取引されるので、ドルが強いと、ほかの通貨から見て割高になりやすい
- 換金売り:株などが急落すると、損失の穴埋めや追加の担保のために、売りやすい金が売られる
実際、2008年の金融危機では、金の値段も年の前半の高値から秋にかけて大きく下がった。その後は世界的な金融緩和で大きく上がっている。危機の直後は現金が王様で、金はその次になることがある。
「信用が縮む」局面をどう見るか
金の値段は、ここ十数年、お金の量が増え続ける中で上がってきた面がある。もし金利が高い状態が続き、借金でふくらんだ投資が逆回転して、世界のお金の量が縮むような局面が来たら、金も無傷ではいられないかもしれない——これは筆者の見方だ。
一方で、そうした局面のあとに各国が再び金融緩和に動けば、金はまた買われる、という見方もある。どちらに転ぶかは誰にもわからない。だからこそ、金は「全部をかける資産」ではなく、ほかの資産と分けて持つ一部として考えるのが現実的だ。
金の現物を持つときの手数料、保管、税金については金・銀を現物で持つということにまとめた。危機のときにほかの資産がどう動くかはリスクオフのときに強いもの・弱いものへ。