日米の金利差と円キャリー取引——巻き戻しが起きるとき
金利の低い円を借りて、金利の高い国の資産で運用する「円キャリー取引」。2024年8月の急落と2026年の円高を例に、仕組みと巻き戻しが起きる条件を整理します。
この記事の要点
- 円キャリー取引は、金利の低い円で借りて、金利の高い資産で運用する取引
- 円高が進んだり日米の金利差が縮んだりすると、一斉に巻き戻され、株などが急落することがある
- 2024年8月5日には、日経平均が1日で12.4%下がった
仕組み
- 金利の低い円を借りる(またはドルを買って円を売る)
- そのお金で、金利の高いドルの債券や、値上がりが期待できる株などを買う
- 金利の差と、値上がり分が利益になる。円安が進めば、さらに利益が増える
うまくいっているあいだは、円が売られて円安が進み、それがまた取引を有利にする。しかし逆回転が始まると、同じことが逆向きに一気に進む。
巻き戻しが起きる条件
- 円高:借りた円の負担が重くなる。損を抑えるために、買っていた資産を売って円を買い戻す
- 日本の利上げ:円を借りるコストが上がる
- 米国の利下げ・景気の悪化:運用先の金利や値上がりが期待できなくなる
- 市場の急落:損失を埋めるため、持っている資産をまとめて売る
2024年8月の急落
2024年8月5日、日経平均は1日で12.4%下がり、1987年のブラックマンデー以来の大きな下落率を記録した。直前に日銀が利上げを行い、円高が急に進んだことで、円キャリー取引の巻き戻しが起きたとされる。米国の景気への不安も重なった。
2026年の円の動き
2026-11-04 記録
- ドル円は7月下旬に1ドル164円近くまで円安が進んだあと、円高に転じた。7月31日には日米がそろって円買いの為替介入を行ったと報じられた
- 9月9日には1ドル153円前後と、月初から約4%の円高になった
- 日本の長期金利が約30年ぶりの高さになり、日本の投資家が海外の資産を売って国内に戻す動きが、世界の金利を押し上げる可能性も指摘されている
報道では、今回は2024年8月のような混乱にはなっていないという見方と、巻き戻しはまだ続く余地があるという見方の両方があった。
個人にとっての意味
- 外貨建ての資産を持っている人は、円高で円に戻したときの金額が減る
- 人気が集中している銘柄や、借入の多い会社の株は、巻き戻しのときに売られやすい
- 円安で利益が出ているときほど、その一部が「円安のおかげ」であることを意識しておく
ドル高・円安を支えている理由はドルと米国債の関係で、ほかの資産に広がる兆候は「高値で売れない」が増えたらで考えた。